1939年末にアメリカ陸軍が行った画期的な戦闘機開発依頼(R-40C)にバルテイー、カーチスとともに応募したのがノースロップXP-56である。
エンジンは開発中のプラットアンドホイットニーX-1800を予定し、無尾翼で反対方向に回る二重のプロペラを尾部に置くプッシャータイプのユニークな機体であった。 つね日ごろ航空機の理想は無尾翼であるという夢を抱いていた設計者のノースロップはこの機会に夢を実現しようとしたのである。 1940年9月に1機の試作機を受注して開発がスタートしたが、プラットアンドホイットニーがX-1800エンジンの開発を中止してしまった。 ノースロップ社はやむなく空冷のR-2800-29エンジンを使用することに決定した。 無尾翼という特異な形態にまつわる飛行安定性と搭載エンジンの問題などで開発が遅れ、XP-56の最初の公式テストが行われたのは1943年9月30日のことであった。 しかしテスト飛行が終わって滑走中に右側のタイヤが破裂し、第一号機は破壊されてしまった。 さまざまの問題点を解決して2号機が飛んだのは1944年3月であるが、やはり飛行安定性に問題が尽きずまたこのプロジェクトの優先度が低かったため、検討が遅々として進まず、開発中止の決定が下されてしまった。
形式: 単座迎撃戦闘機 エンジン:プラットアンドホイットニーR-2800-29 空冷18気筒 2,000 馬力 武装:20mm機関砲2門、12.7mm 機関銃4挺 最大速度:667km(海面), 744km/時(高度 7,620m) 海面上昇率:953m/秒 上昇時間 7分12秒(7,620mまで) 上昇限度:10,058m 自重:36,950kg 全備重量:5,153kg 全幅:12.95m 全長:8.38m 生産台数: 2
William Green “War Plane of The Second World War Vol.4” Doubleday & Company, 1960
F.G. Swanborough “United States Military Aircraft since 1909” Putnam 1963
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Green,William and Gordon Swanborough "U.S.Army Air Force Fighters World War 2 Fact Files"