ロッキード社は1940年4月、アメリカ陸軍には経済的負担をかけないでP-38戦闘機の性能向上型を開発するという条件でP-38をイギリスに輸出する許可をとりつけた。 新しい計画は長距離爆撃機を援護できる複座の長距離戦闘機でXP-58の型式名を与えられた。 エンジンは2,350馬力のライトR-2160 トルネードを採用し最高時速 720kmを出す予定であった。 武装は20mm機関砲1門に4挺の機関銃、さらに胴体後方の上部と下部にそれぞれ連装の12.7mm機関銃座を設けることになっていた。 追加された武装と与圧式コクピットなどで重量が増加し15トンを超えた。 ロッキードは2機目のXP-58の製作を許可されたが、トルネードエンジンの生産が1943年春になりそうな見込みであったので、その間航続距離を4,800kmにまで伸ばすべく設計変更が企てられ、また75mm砲を搭載して低高度の対戦車攻撃用に使う検討が行われた。 1942年9月までには第一号機が90%程度までできていたが、この方針変更が混乱を招き2号機はキャンセルされた。 一方対戦車攻撃にはビーチXA-38が開発中であったので XP-58をこの目的に使うのは中止され、もとの高高度戦闘機に戻った。 75mm砲搭載の案は残り、この砲で敵の爆撃機の編隊をくずすアイデアだった。 1943年2月、トルネードエンジンの開発遅れで過給器つきのアリソン V-3420エンジンを搭載することになり、また2号機の製作も復活した。 一号機は1944年6月にようやく初飛行にこぎつけたがトラブルが相次ぎ結局開発は中止となった。
形式: 複座高高度戦闘機 エンジン:アリソン V-3420-11/13 液冷24気筒3,000馬力2基 最大速度:698km/時(高度 7,620m) 巡航速度 438km/時 航続距離:2,010km 海面上昇率 811m/分 上昇限度:11,704m 自重:14,357kg 全備重量:17,793kg 全幅:21.34m 全長:15.04m 武装:37mm機関砲4門、12.7mm 旋回式機関銃4挺、 生産台数: 1
William Green “War Plane of The Second World War Vol.4” Doubleday & Company, 1960
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare”
F.G. Swanborough “United States Military Aircraft since 1909” Putnam 1963
Rene Francillon “Lockheed Aircraft since 1913” Putnam Aeronautical Books 1982