コンベア XP-81 

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モデルは KR MODELS製 1/72
バキュームフォームキット

アメリカ最初のターボプロップエンジン装備でB-29を援護するための長距離戦闘機として1943年に計画された。 アメリカ陸軍の要求仕様は航続半径2,000km、上昇限度11,278m、最高速度は800km/時以上というものであった。 その年の9月、コンベア社のヴァルテイ部門はジェネラルエレクトリック TG-100 ターボプロップエンジンを機首に、2基の I-40-GEターボジェットエンジンを機体後部上面に配置する構造を提案した。 1944年2月11日、試作機2機がXP-81の型式名で発注され、さらに13機がYP-81として続いた。 TG-100エンジンの開発遅延により第一号機は1945年1月、パッカードマーリン V-1650-7エンジンを替わりに搭載して完成し、翌月初飛行した。 コクピットは与圧され、XP-54で採用された射出式座席も装備されることになっていた。 主翼の凍結防止装置が施され、降着装置は電動式であった。 武装は主翼に6挺の 12.7mm 機関銃か、20mm 機関砲が装備される予定であった。 試作機は通常のピストンエンジン装備であったために計画の性能ははるかに下まわったが、それでも最高速度はマッハ0.74に達し、高度9,144mまで7分で到達することができた。 操縦性はおおむね良好と判断されたが、進行方向の安定性がよくなかったので垂直尾翼にひれが追加された。  13機の量産試作機が発注されたが、グアム、サイパンなどの確保でこの種の長距離援護戦闘機の必要が薄れ、日本が降伏した時点で試作機が80%ほど完成していたが発注はキャンセルされた。 TG-100ターボプロップエンジンがさらに遅れ、最初のターボプロップエンジン装備の機体が完成したのは戦争が終わって4ヶ月後の12月になってからで、XP-81はテストベッドとしての用途しかなくなってしまった。 TG-100エンジンは当初の性能が出ず試作機の最高速度は787km/時しかでなかった。 プロペラからの振動、油漏れなどの問題で69回、合計42時間の飛行テストの後本機の計画はすべてキャンセルされた。 他に使える部品は転用され、残りは現在エドワーズ空軍基地の”Flight Test Museum”に保存されている。   実際の飛行テストの結果の詳細は不明のため下記に示す性能は設計計画値である。

 
性能諸元(XP-81)

形式: 単座長距離侵攻戦闘機   エンジン: ジェネラルエレクトリック XT31-GE-1 (TG-100) ターボプロップ 2,300馬力1基ならびにアリソン J33-GE-5 推力1,702kg ターボジェットエンジン   最大速度: 765 km /時(海面), 811 km/時(高度 9,391 m)  航続距離:6,400km at 440 km/時(高度 7,620 m)   海面上昇率 1,848 m/分   上昇限度: 11,384 m   自重: 5,791 kg   全備重量: 8,853 kg   全幅: 15.39 m   全長: 13.67 m   武装:12.7mm 機関銃6挺 または 20mm 機関砲6 門   生産台数: 1   

参考文献

William Green “War Plane of The Second World War Vol.4” Doubleday & Company, 1960
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
John Wegg “General Dynamics Aircraft” Putnam Aeronautical Books 1990