ベル XP-83 

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モデルは KR MODELS製 1/72
バキュームフォームキット

 初期のジェット戦闘機の大きな欠点のひとつは航続距離が短いことであった。 1943年、戦闘機の護衛なしのドイツ爆撃で甚大な被害を蒙ったアメリカ空軍は真剣に長距離護衛戦闘機の開発を考慮し始めたおりから、ベルは1944年そうそう、P-59の発展型として重武装の長距離戦闘機の開発をスタートさせていた。 これに注目したアメリカ空軍は1944年7月 XP-83BE の型式名で2機の試作機を発注した。 XP-83はP-59よりやや大きくなったほかは基本的に同じ構造を採用した。 エンジンはGE XJ33-GE-5 ターボジェット(推力1,880kg)が2基。 航続距離を伸ばすため胴体をフルに燃料タンクに使え、しかもエンジンの一方が停止したときでも、飛行の安定性を失わないよう主翼の付け根に配置されていたが空力的には理想的とは言いがたい構造であった。 補助翼、フラップ、急降下回復フラップは高速での操作を軽くするために油圧式になっていた。 降着装置はモーター駆動であった。 目的である長距離飛行を達成するために胴体と主翼にセルフシーリングタンクを設け、さらに落下式のタンクも備えていた。 コクピットは与圧式で非常の場合は吹き飛ばせるようになっていた。 さまざまな武装が提案された。 20mm あるいは37mm機関砲4門、さらには12.7mm機関銃20挺というとほうもない案があったが、結局は常識的な6挺の12.7mm機関銃ということに落ち着いた。   試作第一号機の初飛行は1945年2月25日であったが、テスト結果はいささか期待はずれであった。 明らかなエンジンの力不足であったし、操縦性ももうひとつでありアメリカ空軍の採用するところとはならなかった。 翌年には試作機はラムジェットエンジンのテスト用に改造されたが、テスト中に事故で失われてしまった。 第二号機もいろいろな実験に使われたが1947年にはスクラップにされた。 

 
性能諸元(XP-83)

形式: 単座長距離戦闘機   エンジン:ジェネラルエレクトリック XJ33-GE5 ターボジェット推力1800kg 2基   最大速度:840km/時(高度 4,776m)  航続距離:3,298km   海面上昇率 28.7m/秒   上昇時間:11分30秒(9,150mまで)  上昇限度:13,715m   自重:6,404kg   全備重量:10,937kg   全幅:16.17m   全長:13.68m   武装:12.7mm 機関銃6挺、爆弾 450kg   生産台数:2 

参考文献

William Green “War Plane of The Second World War Vol.4” Doubleday & Company, 1960
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Alain. J. Pelletier “Bell Aircraft since 1935” Putnam Aeronautical Books 1990