ビーチ AT-10 ウィチタ 

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モデルは EXECUFORM製 1/72
バキュームフォームキット

AT-10は同社の軽輸送機 C-45 から発展した、双発爆撃機の操縦員の養成を目的とした高等練習機である。 教官と生徒は並んで座り並列の操縦装置を持っていた。 エンジンは280馬力のライコミング R-680-9 で2翔の可変ピッチプロペラを駆動した。 AT-10はビーチ社が作った最初の全木製機であり、アメリカ陸軍が採用した最初の木製高等練習機であった。 設計が始まった頃はアルミニュームの不足はまだ懸念されていなかったが、ビーチ社は遠からずその事態になることを予想して木製構造を採用したのである。 特筆すべきことは燃料タンクも木製で内側にはガソリンにも侵されない特殊な合成ゴムをはっていたことと、社外の下請け工場にも作れるように曲線を避け、複雑な成型工程が要らないような構造になっていたことである。 そのため部品の85%は家具製作工場のようなところで作ることができた。 ビーチ社で1,771機、グローブ社で600機が作られ、1944年には終了した。 AT-10のうちの1機は実験的にV字型の垂直尾翼を備えていた。

 
性能諸元(AT-10)

形式: 高等練習機   エンジン: ライコミング R-680-9 空冷280馬力   最大速度:317km/時   航続距離:1,232km 上昇時間:12分42秒(3,048mまで)  上昇限度:5,155m   自重:2,156kg   全備重量:2,783kg   全幅:13.4m  全長:10.4m   生産台数:1,771

参考文献

Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
“Jane’s Fighting Aircraft of World War 2”, Bracken Books, London 1989
F.G. Swanborough “United States Military Aircraft since 1909” Putnam 1963
O.G.Thetford & H.J.Cooper “Aircraft of the Fighting Powers”