1942年のミッドウエイ海戦で学んだことのひとつは攻撃隊を援護と空母の防衛の両方の任務をこなすためには搭載戦闘機の数を増さなければならないということであった。 搭載機数は限られているため偵察、急降下爆撃、雷撃など他の機種は減らす必要があった。 このためこれらの任務をすべてこなす機種の開発が1943年9月、BT(Bomber Torpedo)として計画された。 当時ダグラス社はSBDの生産と後継機のXSB2Dの開発に追われていたので、選定されたメーカーは斬新なアイデアを持ちしかも生産能力に余裕があったマーチンとSB2Cの不評を挽回させる意味でカーチス、さらに政治的な色彩の強いカイザー社であった。 マーチン社はXBTM-1として単座単発機を提案、1944年1月に2機の試作機の認可を受け、わずか7ヶ月半後に初飛行した。 プラットアンドホイットニー XR-4360 28気筒空冷 3,000 馬力エンジンを搭載、水滴型風防を持ち構造はきわめて頑丈で、外見も性能も巨大な戦闘機といった感じであった。 ユニークな構造は主翼後縁に設けられたくし型のダイブブレーキである。 このダイブブレーキは下にさげるときは一枚の板となってフラップとして作用した。 1945年1月、750機が発注されたが、日本降伏の後152機に縮小された。
1946年以降は型式名がAM-1と変わったXBTM-1の最大の特長は大きな搭載能力であった。 テスト飛行では4門の 20mm 機関砲に加えて3本の魚雷、12発のロケット弾など合計4.8トン、当時の日本の重爆撃機でもおよびもつかないほどの武装を積んで飛び上がっている。 操縦性も良かったがダグラス社が開発したずっと安価な傑作機ADスカイレーダーの存在のため、139機が生産されただけで海軍の中軸機にはなれなかった。
形式: 単座単発雷爆撃機 エンジン:プラットアンドホイットニー XR-4360 28気筒空冷3,000馬力 最大速度:438km/時(海面), 462km/時(高度 4,572m) 航続距離:1,384km 海面上昇率:561 m/分 上昇時間:14分36秒(6,096mまで) 上昇限度:8,169m 自重:7,187kg 全備重量:11,350kg 全幅:15.27m 全長:12.57m 武装:20mm 機関砲4門 爆弾、ロケット弾合計2,724kg 生産台数: 152
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.17”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Bob Kowalski “Martin AM-1/ 1-Q Mauler” Naval Fighters No.24
Gordon Swanborough “United States navy Aircraft since 1911” Naval Institute Press 1968
John R. Breihan “Martin Aircraft 1909-1960” Narkiewicz// Thompson