1940年、アジアにおける緊張が高まり8隻のエセックス級航空母艦が発注されたころこれらに搭載する航空部隊の高性能化も急がれていた。 そのひとつがダグラスXSB2Dで、すでに就役しているダグラスSBD急降下爆撃機や生産に入ったばかりのカーチスSB2Cの後継機種に予定されていた。 アメリカ海軍から2機の試作機がダグラス社に1941年6月XSB2Dとして発注された。 海軍の要求仕様を満たすためエド.ハイネマン指揮する設計チームは今までの海軍機に採用されていなかった新機軸を盛り込んだ。 その中でも特徴的なのは層流翼の採用、前輪式の降着装置、リモートコントロール化された銃座などである。 さらに大型の爆弾倉を収容するスペースを作るために逆ガル式の主翼が採用された。 武装は主翼に2門の20mm機関砲、胴体上部と下部に2連装の12.7mm機関銃座、さらに攻撃用としては合計1,906kgの爆弾あるいは2本の魚雷であった。 エンジンは2,300馬力のライトR-3350-14 14気筒空冷エンジンが予定された。
当時開発陣は他のプロジェクトに忙殺されていたのでXSB2Dの開発は遅れ、第一号機が完成したのは21ヶ月後の1943年3月であった。 テスト飛行では良好な結果を示し最高速度はカーチスSB2Cを105kmも上回る557km/時を記録し、爆弾搭載量もほぼ2倍であった。 アメリカ海軍は8月に345機を発注したが、すぐそのあとで二人乗りとする仕様が撤回された。この頃アメリカ海軍は圧倒的な制空権を確保しており、防御火器も不要でありしたがって乗員はパイロットひとりだけで十分であるとの結論に達したのである。
ダグラス社はすぐにこれに応じて改造を施した。 後部座席と銃座を取り除いたことによる重量軽減で燃料タンク容量と装甲を増やすことができた。 これは型式名がBTDとなり1944年3月に初飛行した。 しかしながら最初から単座型として開発されたものの方が性能が良くなるのは当然でBTDは正式採用とはならなかったが、BT2Dとして別な開発に取り組む契約をとりつけ、これがのちの有名なスカイレーダーにつながるのである。
形式: 単座単発雷爆撃機 エンジン:ライト R-3350-14 14気筒空冷2,300馬力 最大速度:554km/時(高度 4,905m) 巡航速度:303km/時 航続距離:3,445km 海面上昇率:503 m/分 上昇限度:7,195m 自重:5,581kg 全備重量:8,228kg 全幅:13.72m 全長:11.76m 武装:20mm 機関砲4門 生産台数: 28
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Gordon Swanborough “United States Navy Aircraft since 1911” Naval Institute Press 1968
Rene Francillon “McDonnell Douglas Aircraft since 1920” Putnam Aeronautical Books 1979