1942年日本海軍が南太平洋を侵攻しつつあるとき、傑作機SBD急降下爆撃機を生んだダグラス社のエルセグンド部門は近く開発されようとしていたミッドウェイ級の大型空母に搭載する大型で強力な艦上攻撃機の開発を検討していた。 これを率いるのは天才設計者エド.ハイネマンである。 しかしミッドウェイ級空母の建造にはまだまだ時間がかかることが判明しこの計画は棚上げになった。 1943年10月にミッドウェイ級空母の建造が始まると計画が復活し2機の試作機がXTB2Dとして発注された。、
XTB2D-1は全幅21m、全備重量は13トンに達し、双発爆撃機B-25より大型であった。 エンジンは空冷28気筒3000馬力のプラットアンドホイットニーXR-4360-8で同軸で逆回転をする2つの4翔プロペラを駆動するものであった。 海軍機では初めての前輪式降着装置を採用した。 武装は主翼に12.7mm機関銃4挺、胴体後部に2連装の12.7mm動力式銃座、胴体下部にも12.7mm機関銃1挺、3.8トンにおよぶ爆弾または魚雷を搭載できた。
試作第一号機は1945年3月に完成し、翌月飛行した。 その大きさと重量にかかわらずXTB2Dはすばらしい性能を発揮した。 2本の魚雷をかかえたXTB2Dは1本の魚雷をかかえる現用のTBFアベンジャーより最高時速が233kmも速かったのである。 しかしながら戦争終結が目前に迫っており、しかも魚雷2本を携行でき、やや小型のエセックス級空母からでも発着できるダグラスBTD(後のスカイレーダーの原型)やマーチンAMなどの単発単座攻撃機の開発が進んでいてXTB2Dの存在理由が消え失せてしまっていたのである。 23機の発注を受けていたが完成前にすべてキャンセルされてしまった。
形式: 艦上攻撃機 エンジン:ライト XR-4360-8 空冷28気筒 3,000馬力 最大速度:547km/時(高度4,744m) 巡航速度 270km/時 航続距離:2,010km 海面上昇率 434m/分 自重:8,348kg 全備重量:15,767kg 全幅:21.34m 全長:14.02m 武装(計画):12.7mm 固定機関銃4挺、12.7mm 旋回式機関銃3挺、 魚雷または爆弾 3,800kg 生産台数:2
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Rene J. francillion "McDonnell Douglas Aircraft since 1920" Putnam books
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Gordon Swanborough “United States Navy Aircraft since 1911” Naval Institute Press 1968
"Wings" Vol.2 No.5 Oct. 1972