第二次大戦開始当時、ヨーロッパにおける液冷エンジン搭載戦闘機の活躍がめざましかったので、アメリカ海軍はそのタイプの戦闘機を求めていた。 おりから戦闘機の名門カーチス社はグラマンにすっかり奪われていたアメリカ海軍戦闘機供給の地位を取り戻すべく1941年1月、開発中のライコニングXH-2470 液冷エンジンを搭載した戦闘機の開発を提案した。 太平洋戦争が始まる5ヶ月前の1941年6月30日、アメリカ海軍は次世代の艦上戦闘機としてグラマンXF6F-1,XF7F-1とならんでカーチスXF14C-1の開発契約を結んだ。 XF14C-1は前述のライコニング XH-2470(2,200馬力)を搭載、武装は20mm機関砲4門、自重は4,480kg、弾丸664発、燃料191ガロンを搭載したときの重量は5,762kg、800発の弾丸と316ガロンの燃料を搭載したときの重量は6,296kgであった。 この軽いほうの装備の場合、海面上の時速は534km、高度17,000フィート(5,181m)では598kmの予定であった。 また海面上昇力は856m/秒、上昇限度は9,296mを計画していた。
計画の初期段階でアメリカ海軍は高高度性能の改善を求めたので、ライコニングエンジンの開発が滞っているのに鑑み、カーチス社はターボスーパーチャージャーを備えたライト R-3350 空冷エンジンを使い、3翔の二重回転プロペラを装備したタイプをXF14C-2として計画、さらに高高度飛行に備え与圧キャビンを設けた型をXF14C-3として計画した。 これによりXF14C-1は1943年12月をもって中止された。 結局これらのうちXF14C-2の試作機だけが完成、1944年7月に初飛行した。 しかし予定の性能が出ず、当初搭載予定であったライコニングエンジンの開発の見こみがたたないうえ、高高度の艦上戦闘機の必要性が薄れてきたため本機の計画は全面的に中止されることになった。
形式:単座高高度艦上戦闘機 エンジン:ライト XR3350-16 18気筒空冷 2,300馬力 最大速度:507km/時(海面), 678km/時(高度 9,754m) 巡航速度 275km/時 航続距離:1,520km 海面上昇率 823m/分 上昇時間:7分54秒(6,100mまで) 上昇限度:12,040m 自重:4,777kg 全備重量:6,781kg 全幅:14.02m 全長:11.51m 武装:20mm 機関砲4門 生産台数:1
William Green “War Plane of The Second World War Vol.4” Doubleday & Company, 1960
Peter M. Bowers “Curtiss Aircraft 1907-1947” Putnam 1979