アメリカ海軍はジェット時代への突入にたいしては慎重にかまえていた。 当時のジェットエンジンが加速性能が悪く航空母艦からの発進には困難が想定されたからである。 対処法としてとったのは従来のピストンエンジンとジェットエンジンを組み合わせた戦闘機の開発でアメリカ海軍は当初アメリカでは初めてのジェット機を開発したベル社を選んだがベル社はすでに空軍との契約で手いっぱいであったためにカーチス社とライアン社に指示した。
両社とも機体は従来技術で作りジェットエンジンは胴体後方に配置する構造であった。
XF15Cのジェットエンジンはイギリスのデハビランド H1-B ゴブリンを国産化したもので推力1,225kgであった。 機首に搭載された従来型のピストンエンジンはプラットアンドホイットニー2,100馬力の R-2800-34Wである。
XF15Cに対する発注は1944年4月に行われた。 特徴的なことはこの時代の他のジェット機ではジェットエンジンからの噴出ガスは長いパイプを経て尾部から噴出させるのが普通だったことに対し、XF15Cではエンジンのすぐ後で噴出させるようにしてあったことである。 主翼は上部に折りたたまれる構造で、主翼の付け根部のプロペラ回転範囲の外側に4門の20mm機関砲を装備していた。
試作第一号機はジェットエンジンなしで1945年2月に初飛行した。 しかし5月にジェットエンジンを搭載したあと墜落してしまった。 残る2機は尾翼がT字型に改造されて続けられた。 XF15Cはジェットエンジンなしでは最高速度600km/時で、ジェットエンジンつきでは755km/時を出した。 しかし技術的なトラブルが続きこの2機がアメリカ海軍に引き渡されたのは1946年11月になり、結局正式採用されなかった。
形式:単座艦上戦闘機 エンジン:プラットアンドホイットニー R-2800-34W (2,100馬力)空冷 2,100馬力およびデハビランド h1-B ゴブリンジェットエンジン(推力1,225kg) 最大速度:755km/時(高度 7,711m) 航続距離:2,229km 海面上昇率 25.5m/秒 上昇限度:12,741m 自重:5,737kg 全備重量:7,543kg 全幅:14.63m 全長:13.41m 武装:20mm 機関砲4門 生産台数:3
William Green “War Plane of The Second World War Vol.4” Doubleday & Company, 1960
Peter M. Bowers “Curtiss Aircraft 1907-1947” Putnam 1979
Green,William and Gordon Swanborough "U.S.Navy Marine Corps Fighters World War 2 Fact Files"