ヴォートXF5Uはアメリカ海軍の実験的戦闘機で設計者はチャールス.ジンマーマン。 円盤状の胴体が主翼の替りに浮力を与える特異な形状であった。 2基のエンジンは円盤の内部に格納されていた。
もともとアスペクト比の小さい翼は気流の乱れる翼端部が大きく飛行安定性が低下するのが普通であり、これを避けるために主翼は細長く設計するのが普通であった。 しかし長い主翼にすると必然的に空気抵抗が増え、機械的強度を保つために重くなりしかもローリングスピードが落ち戦闘機としての運動性を低下させる。 これを解決するためにXF5Uでは主翼を円盤状にして、これによる翼端の気流の乱れは翼端に配置したプロペラによる空気の流れで打ち消そうというアイデアであった。 二つのプロペラは反対方向に回り機体下部の空気圧力を高く保って浮力を高めるように働く。 これにより主翼は非常に小型化できしたがって運動性を向上させることができる。 また非常時の脱出時に巨大なプロペラに巻き込まれないためにイジェクションシートが備えられた。
XF5Uは計画では時速は885kmに達し非常に期待できるものであったが、振動などの諸問題を解決するのに時間を要しているうちに周りの情勢が変わってしまった。 ジェット機の時代になりアメリカ海軍が本機に対する興味を失ってしまい1947年3月、プロジェクトはキャンセルされてしまったのである。 最初の試作機はスミソニアン博物館に保存されている。
形式: 単座艦上戦闘機 エンジン:プラットアンドホイットニー R-2000-7 空冷1,350馬力2基 最大速度:756km/時(高度 8,534m) 航続距離:1,703km 海面上昇率 914m/分 上昇限度:10,516m 自重:5,958kg 全備重量:7,600kg 全幅:9.91m 全長:8.73m 武装:12.7mm 機関銃6挺 生産台数:2
Gordon Swanborough “United States navy Aircraft since 1911” Naval Institute Press 1968
Chant, Christopher. Fantastic Aircraft. New York: Gallery Books, 1984. ISBN 0-8317-3189-3.
Ginter, Steve. Chance Vought V-173 and XF5U-1 Flying Pancakes (Naval Fighters Number Twenty-one)
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