1942年から1943年にかけてアメリカ海軍は数多くのB-24爆撃機とその輸送機型をPB4Y-1の型式名を与えて使用していたが、1943年5月、B-24をベースとして海軍専用の哨戒爆撃機を開発することを決定した。 試作機はXPB4Y-2の型式名を与えられた。 主翼と降着装置はB-24と同じものであったが胴体は2mほど延長され、垂直尾翼は一枚のものに変えられた。 エンジンは4基の1350馬力のプラットアンドホイットニー R-1830-94ツインワスプで225km/時の巡航速度で航続距離は4500kmであった。 任務の性質上低高度で飛行することが多いのでターボスーパーチャージャーは必要ないと考えられた。
初飛行は1943年9月に行われ、翌月には660機がPBY4-2として発注され、翌年に710機の追加注文がなされたが終戦とともに注文の多くがキャンセルされ、実際に作られたのは736機だけであった。 武装は12.7mm機関銃2連装の動力銃座が胴体上部に2か所、機首と尾部に設けられさらに後部胴体の両側に2連装の銃座が設置された。 爆弾搭載量は短距離であれば5.8トンで胴体内に収容できた。 乗員は11人から12人、合計500kg以上の防弾装甲が施された。 PB4Y-2は1945年1月から太平洋方面のテニアン、マリアナ諸島に配備され、少なくとも19機が改造されて両翼の下に対艦攻撃用のレーダー誘導の滑空爆弾を装備していた。 この滑空爆弾は1945年4月23日ボルネオのバリクパパンで日本艦相手に発射されている。 レーダー誘導ミサイルが実戦で使われた唯一の例である。 46機の輸送機型が作られ約半分はイギリスに送らている。
PB4Y-2は戦後も海上哨戒任務で使われ、1954年ころまで救助、天候調査などにも使われていた。 またフランスにも供給されアフリカ、地中海方面でも活躍したほか、中国空軍でも使われた。
形式: 長距離哨戒爆撃機 エンジン:プラットアンドホイットニー R-1830-94空冷1,350馬力4基 最大速度:381km/時(高度 4,126m) 巡航速度 225km/時 航続距離:4,500km 海面上昇率 332m/分 上昇限度:6,309m 自重:17,003kg 全備重量:29,484kg 全幅:33.53m 全長:22.73m 武装:12.7mm 旋回式機関銃12挺、爆弾725kg 生産台数:782
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.20”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
John Wegg "General Dynamics Aircraft and their Predecessors" Naval Institute Press