アメリカのコンソリデ―テッド社で開発された双発飛行艇PBYカタリナはおそらく世界の航空史上でもっとも成功した飛行艇であろう。 10年間に渡って生産され、その台数は他のすべての飛行艇を合わせたものより大きかったのである。 第二次大戦では6カ国以上の海空軍で使用された。 カタリナは1933年にアメリカ海軍から出された仕様に基づいてコンソリデ-テッド社(後にコンソリデーテッド.バルテイさらにコンベア社となる)が設計したもので当初はXP3Yの型式名を与えられた。 初飛行は825馬力のプラットアンドホイットニー R-1830-54 ツインワスプエンジンを搭載して1935年3月に行われた。 全金属製で極めて洗練された機体を持ち、補助フロートが飛行中は翼端に折りたたまれ主翼の一部となって空気抵抗を減らすという斬新な構造であった。 907kgの爆弾を搭載し、防御火器として4挺の7.7mm機関銃を備えた最初の量産型はPBY-1の型式名で1935年6月、アメリカ海軍から60機を受注し翌年10月から引渡しが始まった。 1938年には3機がソ連に買い取られ、ついでGSTの型式名でライセンス生産が始められた。 この技術習得のために3人のソ連技術者がアメリカはサンデイエゴにあるコンソリデ―テッド社に送られた。 同時にコンソリデ―テッド社とエンジンのプラットアンドホイットニー社から合計18人の技術者がソ連に派遣され技術指導にあたっている。 ライセンス生産にあたって設計変更は極寒の気候に対応させる最低限のものだけに絞られた。 エンジンは当初950馬力のM-87(フランスのノーム.ローヌエンジンのライセンス生産)であったが後にM-621(850~1,000馬力)に替えられた。 GSTの性能、信頼性などは当時のソ連国産機よりはるかに優れており、1939年以降200機以上が作られたといわれているが、なぜかソ連の軍当局はあまり興味を示さず、ほとんどの機体は民間用に使われるにとどまった。
形式: 双発飛行艇 エンジン:クリモフ空冷M-62IR 2基 武装:7.7mm 旋回式機関銃1挺 最大速度:277km/時 上昇限度:5,100m 航続距離:2800km 自重:6,670kg 全備重量:12,250kg 全幅:31.72 全長:20.68m 生産台数:200以上
Ed.: David Donald “Encyclopedia of World Aircraft” Prospero Books 1999
Lennart Andersson “Soviet Aircraft and Aviation 1917-1941” Putnam Aeronautical Books 1994
William Green “War Plane of The Second World War Vol.5” Doubleday & Company, 1960
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